世界トップクラスの自動車メーカーであるトヨタ自動車。2004年のコンセプト提案から始まった同社のパートナーロボット事業が、2017年5月発表の歩行リハビリテーション支援ロボット「ウェルウォーク WW-1000」によって、ついに商用化の段階に入った。トヨタ自動車は、なぜパートナーロボット事業に注力しているのか。パートナーロボット事業部 部長の玉置章文氏に聞いた。
トヨタ自動車株式会社
パートナーロボット部 部長
玉置 章文 氏
1960年長野県生まれ。1985年名古屋大学工学研究科応用物理学専攻を修了。同年トヨタ自動車に入社し、生産技術部門を中心に車載用電子部品(各種センサー、アクチュエータなど)の企画・開発・生産に従事。1990年代には、アンチロックブレーキの標準装備にむけた、内製アクチュエーターの開発・生産を担当した。その後、広瀬工場企画管理部長として内製電部品の企画・工場管理を経て、2011年にパートナーロボット部長に就任。現在に至る。
この講演の見どころ
産業用ロボットではないパートナーロボットをトヨタ自動車が開発する。2004年のコンセプト発表の段階では、2005年開催の「愛・地球博」への取り組みとみる向きも多かった。しかしトヨタ自動車は、リーマンショック、そして東日本大震災があっても、パートナーロボットの開発を継続してきた。
現在、トヨタ自動車は、自動車にとどまらない多様なモビリティを社会に提供する「Mobilty for All」というコンセプトを提案している。このコンセプトにおいて、パートナーロボットが果たす役割は極めて重要だ。
講演では、急速に進む高齢化社会を支えるパートナーロボットの開発や、難しいとされる非産業用ロボットの事業化に対する考え方を紹介。2017年7月末に開催された「ロボカップ2017名古屋」の競技に、同社のロボット「HSR」を提供した狙いについても説明している。
IoT時代における製造業の在り方を、前中期経営計画「Transform2016」における、コニカミノルタの変革の象徴であるBusiness Innovation Centerの活動、そこから生まれたエッジIoTプラットフォームである「Workplace hub」を、実例を交えて紹介する。
また、コニカミノルタがエッジIoT戦略によりどのような社会課題の解決を目指しているか、製造業に焦点を当てて紹介する。
※本講演は、2017/7/20(木)に開催された「MONOist IoT Forum in 名古屋」の基調講演を収録したものです。
コニカミノルタ株式会社
執行役 産業光学システム事業本部長 兼
BIC(ビジネスイノベーションセンター)担当
市村 雄二 氏
NECで28年半勤めた後、2012年10月にコニカミノルタビジネステクノロジーズに入社し、販売本部 サービス事業統括部長に就任。2014年4月にコニカミノルタ 情報機器事業 マーケティング本部 副本部長兼ICT・サービス事業統括部長、2015年4月に執行役(現職) 事業開発本部 副本部長、2016年4月に事業開発本部長 兼 情報機器事業 事業企画本部副本部長などを歴任。2017年4月から、産業光学システム事業本部長兼BIC(ビジネスイノベーションセンター)担当となる。
この講演の見どころ
コニカミノルタは2003年にコニカとミノルタが統合して誕生した。しかし、2006年にはコニカの創業事業であるフィルム事業(フォト事業)、ミノルタの創業事業であるカメラ事業からの撤退を発表するなど、変革を余儀なくされてきた企業だ。
同社が「課題提起型デジタルカンパニー」を目指した取り組みを進める中で、顧客起点でのモノづくりや商品作りを突き詰めた「ビジネスイノベーションセンター(BIC)」で成功を収めつつある。このBICの世界5拠点同時立ち上げを主導したのが市村氏だ。
さらに、BICから生まれたエッジIoTプラットフォーム「Workplace Hub(ワークプレイスハブ)」を推進するなど、従来の日本型製造業からの脱皮を図ろうとしている。「コニカミノルタは、ディスラプター(創造的破壊者)となることを宣言する」と語る市村氏の刺激的な言葉の数々に耳を傾けてほしい。
4000万円という高額なEVスーパースポーツカーを2019年から生産するGLM。
EVとしてスペックを単純に見ればテスラ「モデルS」などが上回っており、スポーツカーとしての歴史の長さやブランド力は、ベンチャーである以上既存の自動車メーカーには敵わない。
だが、GLMが作りたいのは単なる速いEV、単なるスポーツカーではなく、日本の技術を集めたショーケースとなるクルマだという。量産車で採用実績のない技術も積極的に取り入れる。
日本の自動車部品メーカーが持つ技術力の可能性や期待をGLM 社長の小間氏に聞く。
GLM株式会社
代表取締役社長
小間 裕康 氏
1977年8月生まれ。大学在学中、1999年に音楽家派遣サービスを行うコマエンタープライズを設立。事業内容を電機メーカー向けのビジネスプロセスアウトソーシングに展開し、創業後9年で売上高20億円まで拡大させる。
2009年に京都大学大学院に入学。2010年に京都大学の電気自動車開発プロジェクトを母体にグリーンロードモータース(2014年にGLMに社名変更)を立ち上げた。2015年10月に「日本初の量産型スポーツEV」として「トミーカイラZZ」の生産を開始する。
自動車や家電などのあらゆる製品がインターネットに接続し、製品同士が相互に接続するIoT時代の到来により利便性が高まることが期待される一方、想定外のつながりにより、IoT製品の安全性・セキュリティを脅かすリスクの発生が懸念されます。このような背景を踏まえ、IPAでは、「つながる世界の開発指針」を昨年、策定し公開しました。本講演では、IoTの安全安心を取り巻く状況と高信頼化に向けた取り組みについて紹介します。
国立大学法人名古屋大学
未来社会創造機構 教授
高田 広章 氏
名古屋大学未来社会創造機構教授。 同大学大学院情報学研究科教授・附属組込みシステム研究センター長を兼務。 1988年東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了。 同大学助手,豊橋技術科学大学助教授等を経て,2003年より名古屋大学教授。 リアルタイムOS,リアルタイム性保証技術,車載組込みシステム/ネットワーク技術, 組込みシステムのディペンダビリティ,ダイナミックマップ等の研究に従事。 オープンソースのリアルタイムOS等を開発するTOPPERSプロジェクトを主宰。 名古屋大学発ベンチャ企業APTJ(株)を設立し,その代表取締役会長・CTOを務める。博士(理学)。